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『お登勢』旅日記26

矢之輔旅日記26

これがほんとの最終回

  とうとうほんとの最終回になりやした。今では『人情一夕噺-子はかすがい』の稽古の真っ最中で、江戸っ子大工にならなくちゃあならねえ、ってんで、おおわらわのどたばた状態。それでも忙中閑あり、この回を持ちまして、あっしの旅日記、お開きとさせていただきやす。
  ぜしとも紹介してえのが、舞台監督の中橋耕史、『お登勢』で舞台監督をやり、こんだの芝居でも勤める、超多忙な男なんで、皆様にご挨拶を、と言いやしたが、それどころじゃあねえほどの忙しさ、勘弁してやっておくんなさい。
  代わりにあっしから紹介しますと、今、特に歌舞伎作品に入れ込んでる、わが座の有望株、これからも大いに活躍して貰いてえ一人でさあ。どうか皆様、応援してやっておくんなさい。

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インカムってえので、他のスタッフと打ち合わせ中の、中橋。黒衣姿がいいねえ、粋だよ。

  役者・裏方打ち揃って、いい芝居を創り、皆様にご覧頂く、あっしらの仕事、これからも末永く、よろしくお願え申しやす。
  では皆様、またこの「公演だより」でお目に触れますのを、お楽しみになすってくださいやし。ごめんなっすって、おくんなさい。
【「人情一夕噺-子はかすがい」の、大工辰五郎こと 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記25

矢之輔旅日記25

ほんとに最終回? 

  伊豆の下田で、無事に千穐楽を迎えやした。初演から数えてちょうど100回目のステージ、唐人お吉記念館の隣りにある会場で、「泣いて昔が帰るなら、なんで愚痴など言うものか」とばかりに、「あの人もトチった、この人もトチった、今度はあたしの番なんだ」と、いろいろトチりもありやしたが、すべて忘れて、最後の舞台を勤めやした。そうなりゃあもちろん、夜は「お酒だよ。お酒をおくれ」ってなもんで、打ち上げの美酒に酔い痴れやした。肴は捕れたての金目鯛の刺身。翌朝、踊り子号に乗って帰京しやした。
 さあ、てえへんだ。早速頭ん中のフロッピーとっけえて、「人情一夕噺ー子はかすがい」のモードに切替えなくっちゃならねえ。
 そんなんで、あっしの旅日記も、多分これが最後にはなると思いやす。多分。
 ところでこんだの静岡県下の巡演中、制作として主催者の皆さんとのパイプ役を勤めたのが、森田賢。サクはねえから、森田健作先生たあ違うけど、こっちだって鹿児島ラサール・東大卒の逸材でぇ、べらぼうめ。
 おぅ、森田の賢さん、お世話んなった静岡県下の皆さんにご挨拶しねえな。

「静岡県演鑑連の皆様 
 15会場26ステージ28日間に及ぶ『お登勢』巡演も無事終了いたしました。これもひとえに静岡の皆様のお力添えによるものと、心より御礼申し上げます。とりわけ今回運営サークルとして参加された会員の皆様には言葉では言い尽くせぬほどお世話になりました。大量の道具を運んでいただいた搬出入をはじめ、大変なお仕事だったかと思います。月並みな言葉ではありますが、本当にありがとうございました。
 お芝居におきましても、皆様の暖かい拍手、暖かい笑い声がどれだけ私達を勇気付けて下さったことか。演劇は観る人たちとの共同作業による芸術であることを改めて実感させていただきました。かさねがさねではございますが、ただただ、『ありがとうございました!』
 それでは静岡県演鑑連の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。
そして・・・おしまいに個人的なメッセージをお許し下さい。至らないところの多い制作ですみませんでした!自分も精一杯精進を重ね、成長した姿となってまた皆様とお会いしたいと存じます。急にグワーンとの成長は無理かもしれません。一つ一つ課題をクリアして“静おか~”に成長していこうと思います。これからも末永くよろしくお願いします。   劇団前進座制作 森田 賢」

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浜松北のロビーで、中央、金原事務局長さんらと打ち合わせ。その左が森田。

 これからも巡演先に伺って、各地で皆さんにお世話んなると思いやすが、なにとぞよろしくお願えいたしやす。ではみなさん、10月の前進座劇場、11月の浅草公会堂へ、是非お出かけくだせえ、お待ち申しておりやす。
【てやんでぇ、こちとら江戸っ子でぇ、と一人息巻く 矢之輔 記】

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『お登勢』旅日記24

矢之輔旅日記24

いよいよ最終回? 

  富士から修善寺・富士宮・静岡・三島・藤枝・清水・磐田・浜松北・島田・菊川・浜松・沼津と巡演、伊東・下田で終了。静岡県下の皆様、ほんまにお世話になりました。おおきに、ありがとうございました。
  この日記もそろそろ最終回。長いことお付き合いくれはって、御礼申上げます。まだ紹介したいのんが二人、一人は舞台監督助手の岡本尚之君、入ってまだ二年にもなりまへんので、毎日が勉強やと思います。周りのスタッフさん、皆さんに支えられて、日々成長し続ける、岡本君のご挨拶。
  「前回(三月)の旅と違い、今回は大道具付きとして旅に参加しました。仕込みの手順からバラシの手順まで無駄がないよう、色々と考えながら次々作業を終わらせていくので、その方法を近くで見ていて勉強になりました。次の公演では、『お登勢』で培ったものをやっていきたいです。今回の公演はとても勉強になった公演になりました。」

  もう一人は音響の川名あき君。たった一人で音響の卓に向かい、大勢がかもし出す音楽を、あるいは効果音を、実に繊細な調整をしながら流しだす、とっても微妙な仕事をこなしてます。それだけやのうて、各会場ごとに違う台詞の通り方、これなんかも気にしてくれて、わてらにアドバイスしてくれる。逆に、会員さんとの交流会があると「皆さんの反応はどうでした?」と、聞いてきます。常に舞台を正面、つまりお客はんと同じ条件で見ながら仕事する、彼女ならではの芝居との向き合い方、わては大いに頼りにしてまっせ。


  多くの支えがあっての芝居、前進座の「売り」は、役者と裏方のアンサンブル、これやな。あっと、忘れたらあかんのが、お客はんとのアンサンブル、これが一番やな。
  これからも、前進座をどうぞご贔屓に、よろしゅうお頼、申します。
【A型、みずがめ座の 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記23

矢之輔旅日記23

いよいよ大詰

  巡演がそろそろ終わり、千穐楽の翌日から次の芝居に取り掛かります。どの芝居も、順調に公演していくには、幕内のまとまりが不可欠、束ねてまんのが総務室長。今回のその大役を勤めはった、松涛喜八郎はん、芝居では、稲垣小次郎言うて、白足袋派の超過激派、犬の死骸を婚礼の祝いに持ってくる侍のリーダー格で出てはった、あの人からのご挨拶。
 「市民劇場だったり演劇鑑賞会だったり労演だったり、名前はいろいろですが、二月に一回くらい芝居を観続ける方たちの会員制の組織が全国にあります。

 『お登勢』は春に四国の会に、この秋は静岡の会にお迎えいただきました。

 実は僕も学生時代にこの会で芝居に出会ったのでした。 
 入学間もなく大学の正門でチラシを配っていた学部の先輩にツカマリマシタ。ドラマなどで御馴染みの役者さんが出演する劇団民藝イタリア喜劇『おお!わが町』に興味があったので五月には入ろうと思っていました(合格発表を観に行けば、同劇団の『灰の街のアメリカ紳士』を観ることも出来たのでした)。

 「これもいい芝居だから、これから観たら」という先輩の言葉に従って青年劇場の『夜の笑い』、六月の文化座『サンダカン八番娼舘』、馴染みの役者はいなくてもこんなに芝居は面白いものか。

 次の九月が『奇跡の人』と『さんしょう太夫』との選択例会。広島市民劇場イチオシの東京演劇アンサンブルと前進座。
 大河ドラマ『花神』の主人公を演じた中村梅之助は知っていても、前進座は初めて。知っている役者は一人もいない。

 5、600年前の説教節の語りを元に、能狂言など多彩な伝統芸能の技術を駆使した舞台。退屈なイメージの伝統芸術、絶対に寝るだろうと思った舞台は人生を変えてしまった。


 この会で次の年に観る芝居を決めるのは今年の会員。入った時に観るのは去年の会員さんが選んだ作品たち。勿論その人たちの多くは今年も一緒に見ているのですが。

 鑑賞団体に入らずに、自分が選んだ芝居だけを観ていたら、この出会いはなく平穏無事な人生を歩んでいたのかもしれません。
 でも、鑑賞団体には、その都度切符を買って観に行ってちゃ得られない“例会運営”という特権があるのです。

 例えば搬入搬出―トラックから舞台で使うものを運び入れ、また運び出す。何だこれは?と思いつつ運んだものが舞台にたっていた時の感動は“お客様”でない”会員さん“にしかありません。

 車に縁のない僕は、駐車場係はちょっと苦手でしたが、売店、モギリ、託児所、新鮮に経験しました。
 見本パンフレットの自分の写真頁を広げて展示していく劇団のパンフレット係、『僕が主役ですもん』と言って憚らない山崎竜之介先輩も当時目撃しました。

 私達はロビーで下手な台詞や踊りを稽古している恥ずかしい姿も、例会運営の方たちには披露していることになります。でもその中から明日の主役が出てくるかも?知れません、もしかしたら…。
 役者は板を舞台を踏んでいなければタダの人です。イタを踏んで初めて役者は育ちます。
 全国の鑑賞会の方たちのお蔭で舞台の役者は成長出来るのです。

 例会運営が楽しくなる芝居を持ってまた伺いたいと願っています。」

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松涛はんの、稲垣。一癖も二癖も、癖が大有りな、立ち姿でんなあ。

  彼らの仕事のお蔭で、幕内も、主催者の皆様とも、スムーズにことが運んで芝居が出来る。ありがたいこっちゃ、ほんまに。彼が観てしまった「さんしょう太夫」、来年から全国を巡演します。皆様どうぞよろしくお願いいたします。
10月4日記
【旅の幸せを噛み締めている 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記22

矢之輔旅日記22

感謝、感激、飴、あられ

  「お登勢」の巡演も、残りわずか、静岡県下の会員の皆様には、本当にお世話になりっぱなしで、何とお礼申上げたらええか、とにかく、感謝してま。
  鑑賞団体の皆様には、芝居をする環境に気い使うて頂いて、いろいろとお世話いただいてまっけど、差し入れやら、お通しやら、芝居の仕事してて良かったなあ、と思うことがありまんねん。感激ですわ、ほんま。もちろん、のどの心配して飴を差し入れして貰うたり、あられ、つまりお煎餅貰うたり、時にはおにぎりやらご自慢のお料理やらをお通しというて、盛り沢山に頂いたり、ありがとうございました。
  その方面の係りやってる、もしもし亀よの亀ちゃん、芝居では、わての娘・志津と見合いして結局振られてしまう、多村慎吾と、お登勢人形の左遣いやってる、亀井栄克、よしかつ、って読みまんねやけど、彼からちょっとお礼のご挨拶。
  「全国を巡業しておりますと、お通し又は小夜食といって主催者の皆様の手作りのお食事やら楽屋見舞いを頂く事があります。いつもありがとうございます!私は生活係といってケータリングの係をする事が多いので、いつも助かっております。また搬入搬出時にスタッフさんと間違われる事が、度々あるのですが、去年『三人吉三巴白浪』を(豊橋で)公演した時のこと。搬出時にいつものようにお茶セットの片付けなどしておりましたら、手伝って下さっていた女性に声を掛けられました。『おたくはスタッフのかた?それとも役者さんの卵?』 せめて雛にはなりたいと修行中でございます。」

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まだ卵の亀ちゃんが、卵などを頂いて。
静岡で、カボチャのスープよそってま。

  卵か雛かは知りまへんけど、秋の「人情一夕噺」では女形で鰻屋の女中、正月京都の南座では、「三人吉三巴白浪」で手代の十三郎を勤める亀井栄克を、よろしゅうお頼申します。
10月3日記
【頂いたお通しで太ったかな、と、ちょっと心配な 矢之輔 記】

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『お登勢』旅日記21

矢之輔旅日記21

浜松三店

  旅をしてると、その土地土地にお馴染みのお店が出来ます。もう30数年やってまんので、それなりに多くのお馴染みがでけましたけど、ここ浜松にも、必ずお寄りするお店が三つ。
  先ずは「稲作」はん。先代の大将からずっとのご縁で、うちの先輩達もようけお世話になってます。店にはうちの浜松公演の折の色紙がずらり、今でも何人か必ずお寄りしてます。先ずは煮込みのおでんから。一度店を移転しはって、その折、これ使うて、とくれはったのが、「稲作」と書かれた徳利にお猪口。今でも稽古のときに使わせてもろおてます。それを使うて稽古すると、店を思い出し、本物のお酒が入ってるように錯覚するから不思議や。
  もう一軒は「柳川亭」。今度の「人情一夕噺」の改訂をしてくれはった、小池章太郎はんのご実家。今は弟の裕二郎はんが継いではって、うなぎと泥鰌が美味い。ご主人ここんとこ、笛のお仕事が忙しく、今度伺った時も、沼津の御用邸で笛の演奏会があるとかで、お留守やった。芸の道に長けてはるのは、ご兄弟とも一緒、ご先代の血筋でっしゃろな。
  三軒目は「とし平」。亡くならはった芳三郎先輩とよく伺ったのが始まりで、三味線ライブの「伝の会」や「落語会」を、店で開催するのもここの特徴。大将が仲介で、小学校の子達に邦楽を聞かせてはるそうな、ええこっちゃ。料理は北海道産のものを中心にしてはります。


  他の土地も、なじみのお店は仰山おます。一年の内、半年以上は東京におらへんわてらの楽しみ。さ、次は沼津、「満月」やな。
【食い意地だけは人に負けへん 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記20

矢之輔旅日記20
荷物、お荷物、貴重品

  わてらの使うもん、手持ちで、ホテルでも使うもんは別として、あとはすべて、11トンのトラックに積み込みます。全部積めなっかたらトラック追加、つまりトラック代と運転手さんと、倍かかります。積み込めへなんだら、偉いこってすわ。そやからわてらも若手の頃、茶筒をトントンとやったら中味がぐっと減るように、隙間をなくして積み込むのに、えらい苦労したもんですわ。
  又、雨が降ったら、わてらやのうて、荷物を運ぶお手伝いしてくれはる会員さんが、濡れて苦労するのんは申し訳ない。そやから、気イ使うてまんのや。
  そのトラックの積み込みは、スタッフさんと、一応40才台までの役者が担当します。その責任者が、運責。演出部から一人と、役者から一人出て、主に箱型の物は役者の担当。今回は、白足袋派の片岡清吾・人形遣いをやっている、鈴木大が運責で、トラックの上で荷物を積み上げてます。
  

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いかにも、やってます、ちゅう写真の鈴木大

  でも人間、何か一つは取り柄があるもんで、大が運責をすると、不思議に雨にあわへん。結構旨いこと雨を避けて、荷物を降ろしたり積んだりしてます。これだけは感心するわ、ほんまに。  
  「運責の鈴木大です。搬入・搬出を手伝って下さいました静岡県の会員の皆様、本当にありがとうございました。我々だけでは、どんだけ頑張ってもたくさんの時間がかかってしまいます。僕はトラックの上で荷物を積んでいるのですが、お手伝いの会員さんが二人一組で荷物を運んで下さる姿には、もう感謝でいっぱいです。これからも、会員の皆様が安全な環境を確実につくり、怪我をされないよう細心の注意をはらって頑張っていきます。何卒よろしくお願いします。」

  お前は先ず役者やろ、って言いたくなるような文章でっけど、そこをぐっと抑えて、「運責の大」のご挨拶。
  確かにどこの鑑賞団体さんも、会員の皆様が荷出し・荷降ろしを手伝ってくれはるんで、ほんまに助かってますけど、お怪我なされまへんように、重たい物を無理してお持ちになりまへんように、くれぐれもお願いいたします。

  こんなして荷物運んでまっけど、秋の公演「人情一夕噺」では、茶屋の娘、つまり女形で出まんねん、大が。その変身振りを、是非見とおくんなはれ。
【大の母親とは幼なじみの 矢之輔 記】

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『お登勢』旅日記19

矢之輔旅日記19

時今也帰京旗揚

  字がちょっと違いまっ。本題は歌舞伎「時今也桔梗旗揚」、明智光秀の謀反を描いた時代物で、わての大好きな芝居の一つ。
 それより秋の公演「人情一夕噺-子はかすがい」まであと半月。時は今、帰京してこの芝居の旗揚せな、と焦っても栓方なし。自分達なりに、準備は着々と進んでるつもりで、その筈だす。
 先日、林家正雀師匠にご足労頂いて、あっしと女房の菊之丞、家主の辰三郎とで、秋の公演のパンフレット用の対談をしました。落語「子はかすがい」のこと、今度の脚本に師匠が感動してくれたこと、これから座で上演してほしい落語種の芝居など、中身の濃い対談でした。六月にはわざわざ相模原まで「髪結新三」を観に来てくれて、うちでしかやらねえ大詰の居酒屋が馬鹿に良かったってんで、褒めてくれました。その居酒屋の亭主やってたあっしとしちゃあ、嬉しくってねえ。一緒に遅くまで呑んじまいました。

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左から、あっし・師匠・女房・家主
 
  先代正蔵師匠最後の内弟子、正雀師匠ならではのいい話。
  長屋の付き合いの原則は、正蔵師匠いわく、決してよその家の中に上がらねえこと、すなわちプライバシーを犯さないこと。
  黒門町の文楽師匠オハコの「鰻の幇間」も、ご自分では志ん生師匠の野だいこぶりにはかなわねえてんで、黒門町、一日寄席を休んで、「鰻の幇間」やっておくれよ、て志ん生師匠に替わりを頼んで、ご自分は客席の一番後ろでマスクして聞いた、てぇんです。名人は名人を知る、いい話じゃございませんか。
  正蔵師匠オハコの「首提灯」。侍が町人に「無礼者」ってんで、侍が町人の首を斬る。で、その侍があまりの早業なんで、当人首を斬られたことに気付かず、落ちかかる首を両手で元に戻そうとする、それを正蔵師匠は、稽古の時は無言でやって、高座へ上がると、その時「フッ」と息を入れる。お弟子の正雀師匠はそれを見逃さなかった。稽古ってえのはそういうもんです。急所は見て覚える。それじゃあねえと、ほんとうにゃあ身につかねえ。
  こんだの脚本がそんなにいいのに、こんな芝居かい?って言われねえように、頑張らなくっちゃねえ。


  そやけど、今は「お登勢」の舞台が大事。下田の千穐楽まで、気張って勤めま。残る例会でお世話になる皆様、よろしゅうおたの申します。
【江戸に大阪、生国不詳。ええ加減な 矢之輔 記】

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『お登勢』旅日記18

矢之輔旅日記18

新婚旅行は、お前先

  わてらの新婚旅行は、静岡の南、270度海の、御前崎やった。今から21年前、わての誕生日に東京で式挙げて、翌日わては大阪公演の仕込みっちゅうのんで、御前崎のホテルに泊まり、翌朝静岡駅でわては下り、新妻は上りの泣き別れ、もう一遍二人で行ってみよか、と思うてましたが、昨日の菊川で出合った、元ヤンキーのアンちゃんに聞くと、あすこはもう更地やて。
 ところで去年の誕生日は、浜松の「三人吉三巴白浪」例会最終日で、会員さんと出演者全員との交流会。自己紹介の最後はわて、挨拶しようとした瞬間、場内の明かりが消えて、ハッピーバースデーの歌声と共にご入場なさったんが、このケーキ。

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 浜松の皆さんのお心遣いに感謝して、この写真、いまだに大事に携帯に入ってます。ちなみに、今年のわての誕生日は、いつもと違うて、今年は浜松の例会最終日、交流会のある、9月30日だす(そんなアホな)。
【いつまでも新婚気分でいたいと、勝手に思ってるだけの 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記17

矢之輔旅日記17

も一つおまけに、チョー新人

  前回は、役者の最若手をご紹介しました。こたびは演出部の超新人、その名も、趙(チョウ)郁(カオリ)さん。幕開き早々、わてが早速つまみ食いする、蛸。設定では明石の蛸をわざわざ淡路島南部の洲本へ取り寄せて、生のまま塩でさっと洗い、ぬめりを取って刺身にした絶品、のつもりで食べてます。ほなけんど、実はカマボコの薄切り。これを彼女が毎回用意してくれまんのや、言うたら、加納家の、影のお登勢。
  初日からだんだん薄くなったので、口に残らないよう配慮してくれはったんやな、と思い、大丈夫やからもっと厚う切ってや、とお願いしました。つまむといい厚みで、口に入れるとリアルに残る、ちょうどの「蛸の刺身」になりました。
  今回初旅、どないやねん、感想は。
  「初めて旅に正式に参加しています。演出部の趙です。今回、消え物と言って舞台上で本当に食べる物の用意を担当させて頂いています。毎日スーパー探し。地元の散策に明け暮れています。
  初旅は、まだまだ戸惑う事ばかりです。疲れながらも見知らぬ街を歩くと自然と少し癒されます。これが旅の良さなのでしょうか。
  最後まで身体を壊さぬよう、しっかり頑張りたいと思います。」

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修理中の趙さん、何を直してんのやろ、企業秘密やな。

  もちろん、仕事は蛸の刺身だけやおまへん。いろいろこまごまやって、疲れるやろと思います。頑張ってや、期待してまっせ。座の裏方も、おいおい登場してもらお、と思うてます。陰の力、わてらが気持ちよう芝居ができるのは、彼女ら、彼らのお蔭だす。
来月の「人情一夕噺」の大詰は鰻屋。「鰻かあ、顔も忘れちゃった」という、三年ぶりに再会した子供に食べさせる鰻も、もちろん本物、しかも国産で、と注文してあります。
【食べる話に、異常な執着を示す 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記16

矢之輔旅日記16

最若手の紹介でもしょうかい

  わての息子の睦太郎は、阿蘭陀式の短銃を手に入れて、いつかこれで浅葱者の三田昂馬や津田貢を殺す、いうて息巻いとる。そんな事したらあかん、話し合いや、言うても聞かへん。困ったもんや、思うてたら、とうとう浅葱者を襲撃しよった。
 しかも、娘・志津の元亭主、津田貢の両親を、鉄砲で撃ちよったんですわ。ほんまに、無鉄砲や。
 後で聞いたら、撃ったんは多村礼次郎。娘が見合いして、婚約までしながら破談にした多村慎吾の弟。親としては「そんなの関係ねえ、ハイ、オッパッピィ」なんて言うてられへん。困ったもんや。礼次郎と、貢人形の左手と、わての着替えの助手と、小道具の手伝いと、その他いろいろやってる、新村宗二郎、ちゃんと謝らんかい。

 「皆様こんにちは!新村宗二郎です!僕は前回の四国巡演に引き続き多村慎吾の弟、多村礼次郎を演じさせて戴いてます!この役の見せ場としては、やはり津田貢の両親を誤って鉄砲で打ち殺してしまうという場面なんですが、これがまた稽古の段階から中々上手くいかず、何度もやり直す時間を割いてしまい稽古がスムーズに進まないという状況を生み出してしまいました!でも関係者の皆様には本当に申し訳ないと思うと同時に、僕の気持ちとしては自分をまたひとつ成長させてくれた事に深く感謝したいと思う気持ちで一杯です!失敗をいつまでもくよくよ考えても仕方ないので、しっかりと受け止めつつ今は自分の出来る事を精一杯務めようと励んでおります!
 この旅ももう折り返し地点を越えました!ここで気を抜かず、無事に公演を終えられるよう楽日まで集中して参ります!まだ御覧になられていない方はどうぞ楽しみにしていて下さい!それでは!!」
  
 熊本出身の若手、ワカッテないことだらけでおまっけど、可愛がったって下さい。本人頭丸めて謝ってます(ほんまかいな)。

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小道具の刀を並べている、新村宗二郎

わてかてこんな時代がおました。懐かしいなぁ。
【秋、妙にノスタルジックな 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記15

矢之輔旅日記15

旅は道連れ、日課漬け
 
  この旅も、後半に入って参りました。静岡県内を行ったり来たり、短い移動は島田から菊川、あいだは金谷ひと駅、12分という短距離。随分楽な旅やと思わはるでしょう、楽でんねん。
  芝居で有名な宇津谷峠、「切られお富」に出てくる薩垂峠も通りましたし、「解脱衣楓累(げだつのきぬもみじがさね)」という大南北の名作、わてらが本邦初上演した芝居には金谷の娘と島田の息子、菊川という名前も出てきます。そろそろこの芝居も再演したいものでんな。
  まあ移動は楽でも、荷物の揚げ降ろしをやってる若手は結構つらいと思うけど、そんな最中にもよう勉強したはる。
  津田家の下僕やって、貢人形の足も遣うてるマ~くんこと、寺田昌樹くん、みんなで何の勉強したはるのや?ちょっとご報告を。
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昌樹君の「津田家下僕・多助」

 「我々若手は巡演中わずかな時間を作り踊りやお芝居の勉強をします。『日課』というのですが、今回は10月前進座公演出演者が多いということもあり『俊寛』の一場面を勉強することにしました。実はこの演目や配役は我々で決めて稽古をし、最終的には10月の末勉強会として座内発表が出来ればと思い立ち上げた『日課』なのです。
 今はまだ読み稽古の段階で瀬川菊之丞さんの指導のもと、役の感情や台詞のリズムなどことこまかに教えてもらっています。一人一人に表現の仕方やテンポ、リズムなど課題が沢山ありとても難しいのですが、とても勉強になりやりがいのあるひとときです。時には配役を変えて読んでみると自分の役以外の人間の心情がわかり作品をより深める事が出来、表現の仕方も変わってくるのでこの点からも学ぶことが大きいです。(二枚目、立役、女形と表現の仕方が違うのは当り前なのですが実際演じて見るとなかなか出来るものではありません)
 今はまだ読み稽古の段階ですがいづれ立稽古になりまたそこで新たな課題が山積するかと思います。本当に10月に発表出来るのでしょうか?今からとても心配です。(かなり緊張すると思うし…)ただ発表することも大事ですが、役々を深め理解しその中で歌舞伎独特のテンポをくずさない稽古(勉強)をして今後に身につけるというのが大切だしそれも今回の我々の主旨のひとつとなっております。
 今回はとてもいい機会ですし、どちらかというと私は勉強をおろそかにしていた方なので『俊寛』を通して歌舞伎について、演じる事についてしっかりと学んで行けたらいいなと思っている所でございます。」

  みんな芝居に飢えて貪欲になってま。ええこっちゃ。えっ、おじさん何してまんの?って言われても、わてはこの日記が旅の日課。旅の日記は書き捨て、でんがな。
【結構この日記にハマッてる 矢之輔 記】

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『お登勢』旅日記14

矢之輔旅日記14

お登勢人形における哲学的考察

  「お登勢」の幕が開くと、お登勢の人形一体、その表情がとても印象的で、「顔が動くんですね」という、ありがたいご感想をいただきました。目の開閉だけなのに、ちょっとした角度で表情が変わる。作者・人形恒さんの真骨頂。扱っているのは、浅葱者の三善歩を勤めている又野佐紋君が主遣い。また褒められちゃったよ、佐紋ちゃん。
 「舞台でお登勢の人形の主遣い(頭と右手)をやっていると、不思議な感覚になる時があります。僕が人形を操ってるはずなのに僕はそこにいない。操ってるはずの僕が実はお登勢人形に命を吹き込むために操られてるんじゃないか…なんて思う時があります。
  照明の暗い舞台で人形にだけ明かりがあたり、僕の視界には一緒に操ってる俳優も客席も見えません。人形と僕だけの時間になり、人形は生きて僕は存在を殺して舞台に立つ。こんな不思議な感覚は役者としてそう味わえるものじゃないと、日々楽しんでいます。
  初演の時、人形の稽古には本当に苦労しました。でも、その甲斐あってか人形への評判は高く、『人形良かったよ』と聞くと嬉しくなります。
  『お登勢』静岡巡演も折り返しです。千穐楽まで役者としても、人形遣いとしても楽しみながら頑張りたいと思います。」
  いやあ、なかなか哲学的やなあ、山口県出身は。

人形主遣いの、佐紋君
人形主遣いの、佐紋君

  顔が見えない黒衣の中で、毎日真剣勝負をしたはる。人形から生身のお登勢に変わるところも、お客様のどよめきが起こる瞬間、ジェームス先生が一番こだわらはったところ、今も毎日、彼は挑戦してまんのや。
【又野くんから貰った竹の子を、毎年美味しく頂いてる 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記13

矢之輔旅日記13

おおい裏方はん、
     裏方はんよ~


  磐田を終わって、浜松北へ。磐田市民劇場はんの発足第一回例会は、28年前の前進座公演「さんしょう太夫」。10周年記念例会が前進座の「五重塔」。再来年の30周年は、再び座の「さんしょう太夫」で、となれば、ありがたいことでおます。静岡県の皆さん、よろしゅうおたの申します。
 これからうかがう浜松北は、以前浜北と言うてはったところで、そこの第一回例会も、前進座公演「さぶ」。以来、何かと親戚付き合いさせてもうてます。その「さぶ」は、故芳三郎、当時芳夫はんの栄二に志村はんのさぶ、おのぶを勤めてはったのが世津子はん。まだ10代の役で、水溜まりを飛んだ芝居でポッと落としたのが「ホッカイロ」というのがこの静岡コースとか。
 で、当時の演出助手がご当地出身やったことから、さらにヒートアップして、座にも市民劇場はんにも忘れられん第一回例会になりましてん。
 今回も、多くのスタッフはんに支えられて毎日の公演を無事こなしてまんのやで、感謝しますわ、ほんまに。
 まだ暑い季節、汗かいたら役者の恥や言われても、出るもんは止めようがない。汗臭くなる衣裳を手入れして、気持ち良う着せてくれはる衣裳はん。毎回お登勢が斬られるたんびに、見事にパラリっと髪がさばける仕掛けをしたはる床山はん。ごちゃごちゃこまごまある小道具を、毎回引っ越しセンター以上に丁寧かつ手際よう梱包したはる小道具はん。重たい道具を、毎回決まった時間内で転換して、しかも各会場いろんな条件をクリアーしてはる大道具はん。明かりやらスモークやら、果ては暗い舞台裏の通行にも、懐中電灯で行く手を照らしてくれはる照明はん。そして、ぜ~んぶ積み込んだ荷物を安全かつ正確に次の会場まで運んでくれはる、トラックの運転手はん。皆さん外部のスタッフさんやけど、前進座の芝居を愛し、それを待ってくれてはるお客様のために、日夜奮励努力してくれはって、ありがとう、おおきに。
 皆さん裏の方は、裏に徹してなかなかお写真もままなりまへんけど、見はった舞台が、裏方さん皆さんの「魂の結晶」でんがな。


  「裏の人に可愛がられる役者になれ」 わての祖父がよう言うてました。ほんまや。
  毎日、それこそわてらの背中から芝居を観てはる、裏の皆さんが、一番怖いお客はんだっせ、気い抜いたらあかん。
【いまだに背中で芝居が出来ない 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記12

矢之輔旅日記12

アクシデント、いや、「悪氏」が「出んと」納まらん

 今回、浅葱足袋の津田貢の母で、頼母のかみさん、りくを勤めてはる恵子はんは、京都の営業所にここんとこ長く居たはったこともあって、京都ツアーをしてくれはった皆様にもお馴染み。是非ひと言、ご挨拶を。ただし、ここんとこ宿泊先のサーバーと、わてのパソちゃんの相性が悪い、っちゅうのんか、暫くお休みしましたんで、ネタは古いかも知れまへんが、どうぞ。

 こんにちは 前園恵子です。「お登勢」公演も富士・修善寺・富士宮・静岡・三島と十日間が過ぎました。各地で温かく迎えて頂いて、舞台も好評で大変嬉しい毎日です。
 このお芝居には女優は四人しか出演していません。その四人が、先日の静岡公演で、これからも劇団内の語り種になるだろうという珍事をヤラカシテしまいました~!!
 静岡の楽屋は隣り合わせの二人部屋。世津子、恵子。文美、実貴。今日は二回公演、お化粧するのは1時間前からだから 四人は思い思いに体操したり……アイロンかけたり……。そろそろ1時間前ね~などと、いつもの平和な開演前タイム。(その時、歴史は動いた。すなわち12時半。)
 そこへ若手美人演出部のTちゃんから「開演30分前です」のおしらせ。?????世津子ネエサン「何言ってんの!間違えてるわよ!まだ1時間前じゃない!!」Tちゃん小声で「今日は1時開演です。」世津子ネエサン「エエ~~ッ!!」すると隣りの部屋からも「ひぇ~!!」
 なんと四人共 開演1時30分だと思っていたのです。普通だったらメイクは終わってなきゃいけない時間にナ~ンにもしてないのですからヒェ~!です。
 それからの早業はヤレバデキルの一言。30分後には お白粉化粧して、衣裳着て、皆、平気な顔してお芝居してました。f^_^;
自分だけ平気そうで、実は、という、津田りくのお恵さん。
写真では自分だけ平気そうに見えますが、実は、という、津田りくのお恵さん。

 時間は慎重に、注意一秒、怪我一生。それにしても、女優打ち揃っての時間間違え、ようやってくれるわ、ほんまに。いまむらいづみさんは、女優陣の大先輩。ある時JRの小さい切符で自動改札を通って、切符は回収され自分は改札を出た。それでも振り替えって、次に改札を通って出た女学生の定期券を見て「あら、あたしの切符、大きくなっちゃった」。伝統は確かに受け継がれています、わが座は。
【笑っていられない、いづみさんの甥の 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記11

矢之輔旅日記11

先輩、万歳

  この旅日記で、毎回写真をご覧いただいてまっけど、撮ったはるのは、お登勢の恋人・津田貢の父親、津田頼母を勤めてはる、志村智雄先輩だす。ちなみに、頼母は「たのも」と読んで、わての家に、お「たのも」うす、と声をかけはります。智雄も「のりお」と読ませる、っちゅう、ややこしい方やけど、心持ちはストレートな、ラサール・早稲田という賢い道産子。
志村先輩の、頼母。自分のカメラやから決ってま。
志村先輩の、頼母。自分のカメラやから決ってま。

 わての同役で碁敵の石毛弥一郎を勤めてはる、山崎竜之介先輩は、初舞台が「権三と助十」のお猿さんという、か~なり長い芸歴を持ってはって、長十郎・翫右衛門の時代をよう知ったはる。
碁
碁敵は、憎さも憎し。竜さまの石毛。

 うちの下僕の儀平を勤めてはる小佐川源次郎先輩も、初代のメンバーと一緒に芝居してはって、飲むとその話になる貴重な方、お三方とも、ええ話をいっぱい持ったはります。
耳が遠い顔して、ほんまは。源さんの儀平。
耳が遠い顔して、ほんまは。源さんの儀平。

  劇団の歴史が長いというのんは、それだけでえらい財産やな、と、つくづく思う今日この頃。うちの劇団大事にせな、あの世に行って大先輩たちに怒られまんな。ええ芝居しよっと。
【ええ先輩もって、幸せもんの、矢之輔 記】 ※前進座メールマガジン会員募集中です!チケット先行受付・プレゼント企画など、メルマガ会員限定のお得情報が満載。★登録・購読もちろん無料★ 【前進座メールマガジン】⇦登録はこちらから空メールを送るだけ。

『お登勢』旅日記10

矢之輔旅日記10

嫁はん、最高

 17日、三島公演が終わって、次は藤枝・清水・磐田・浜松北・島田と続きまんのや。そやから昔と違うて、富士山ともしばらくお別れや。そやのに、三島を離れる日もちゃんとしたお顔は拝めへんかった。
  ところで、この「お登勢」の見どころ、わてらと違うて、静岡各地の会員さんは、まあどこも一緒やけど、ご婦人が多いせいか、前の静岡の交流会でも、お登勢派と志津派に別れまんねん。
 耐えて堪えて、芯はしっかりしてる女中のお登勢と、対照的に自由奔放、勝手気ままにあの時代を生きたわての娘・志津。自分が共感出来るのは、どっちの女性でショー、って、関口宏と三宅裕司の番組みたいに比較するのも、この芝居の「お召し上がり方」としてはええかも知れまへん。
 わてから言うたら、うちの嫁はんみたいなんが最高やと思いまっけど。えぇ?芝居の中の女房・はまのこと?違いま、実生活のわてのかみさんのことでんがな。芝居の中の女房・はまは、強い、怖過ぎます。頭上がらへん。わて養子やしね。
 怖いかみさんの方の遺影、いや写真をご覧下さい。(こんな間違いしたら、また怒られるわ)
わての奥様、はま様。せっちゃんでおます。

 実生活では、はま役の田中世津子、通称「せっちゃん」は、優しい、温かな、富山生まれの「風の盆」でも踊っていそうな、たおやかな女性です、ほんまの話が。
 主催してくれはった鑑賞団体の皆さんに、毎回お礼のお葉書書いてまんのは、このせっちゃんでおます。

  わては、来月せっちゃんとは別れて、新しい女房を貰います。瀬川菊之丞。すぐに別れますが、子供のお蔭で又ヨリを戻します。「人情一夕噺」をお楽しみに。
【ころころ女房を変える、矢之輔 記】

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『お登勢』旅日記9

矢之輔旅日記9

よう判らへん

 ほんまによう判らへん事件が多すぎまんな。辞めた首相の気持ちもやし、親戚を次々殺して英雄気取りな人、いきなり知らん人を包丁で刺す人、こんな時代が何で到来したのか、よう判らん。
 でも一番判らんのが、この徳島藩の浅黄足袋と白足袋。わては徳島藩の藩士やから、生まれた時から白い足袋履いてまんねん。いや、生まれたときはもちろん裸足やったけど、それから後、親に履かされたのは白の足袋。
 ところが稲田っちゅう家老の家臣は、ずう~と足袋は浅黄。それは身分が、家老の家臣、つまり「又家来」やから。そんなん当たり前やんか、ねえ。わてらは殿さんの家来、あいつらは殿さんの家来の家来、身分が違えば足袋の色も違う、当然ちゃいますか?
 って、この感覚があかんかったんやね、稲田の家臣にとっては。藩士は稲田の家臣を陪臣とか、又家来とか言うていじめよる。稲田の家臣は反発して、向こうが佐幕ならこっちは勤皇、っちゅうなもんで、ことごとく対立した挙句が、稲田騒動となって稲田家臣が徳島藩士に襲われてしまう。そこんところが、この「お登勢」で一番の肝心要、時代背景。
 でも皆様、そんなん判らんでもええんじゃ、と言うて逞し~く生きるのが、主人公のお登勢。これから例会を迎える静岡の鑑賞会の皆様、是非ご期待下さい。


 ちなみに、正月前進座劇場公演の「あなまどい(穴惑い)」の主人公の父が、瀕死の女房を抱えた足軽に無理に土下座させたために、女房を死なせてしまったその足軽に斬られ、父の仇討ちに旅立って30有余年、本望を達してやっと新婚の妻と再会、というお話で、江戸時代はおましたんや、身分の違いから来る悲劇が仰山。主人公は嵐圭史、その妻が、お登勢の浜名実貴、その甥で、跡目を継ぐのんが、睦太郎の嵐広也。お正月も前進座劇場をよろしゅう。
 という訳で、直木賞作家・乙川優三郎氏原作の作品を脚色した、座の若手脚本家・金子義広に大いに期待して、まずこんにちは、これぎり。
【正月は前進座劇場ではなく、京都公演に出演する 矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記8

矢之輔旅日記8

娘も勝手や、苦労します

 泥鰌はお好きでっか?わては小さい頃から大好きで、特に丸泥鰌の鍋が大好物、泥鰌の味噌汁も茄子入れて、とにかく好き。そのせいか、わての妹も小さい頃から「泥鰌、泥鰌」と言うてました。
 今村文美がその、わての妹。静岡で、泥鰌が美味い店に連れて行こうとしたら、あいにく行けまへんでしたが、この妹が、実は今回わての娘の役。実の妹から舞台で「お父様」なんて言われると、ぞっとしまっけど、まあ芝居ではしゃあないわな。我慢してやってます。
 今度の役は、わての加納市左衛門の娘・志津。お登勢と対照的な、つまりジェームス先生の作劇の基本の一つ、対立軸、ちゅうのか、とにかくあの時代には珍しい、跳ね娘。息子の睦太郎共々、苦労の種ですわ。
 なんか言わんかい。
 「私が勤めます志津は、健気に一筋の愛を貫いて生きるお登勢とは正反対!コロコロと男を変え、ヒラリヒラリと世の中を生きて自由奔放!欲しい物は何としても手に入れなければ気が済まない…あまり親しくなりたくない女性なのかもしれませんね~。だけど、ただの我が儘娘でない所がまた凄い!時の流れに呑みこまれる男達を冷静に見つめ、時代の先を見通す目を持った賢いお嬢さまです。こんなに跳んでる女性を演じるのも初めてですが、舞台ではピストルを撃ったり白無垢着たり、夜会巻きにドレス姿と初体験尽くし。私には無い物だらけの娘役ですが、志津が思う存分楽しんで生きたように、私も千穐楽まで挑戦しながら、精一杯勤めます!」


清楚?奔放?はたまた魔女? 文美の志津
<清楚?奔放?はたまた魔女? 文美の志津>

 勝手なこと言うてるわ、ほんまに。でもそういう風に育てたのは、わてら親の責任や、しゃあない。あくまでも、7月京都南座「法然と親鸞」の恵信尼様とは別の役者です。この妹、いや、今回のわての娘も、どうぞよろしゅうに。
【どじょうよろしく、と言っている、矢之輔 記】
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『お登勢』旅日記7

矢之輔旅日記7

世界遺産に挑戦

 富士宮を去る日、やっと富士山がお顔を見せてくれました。それも明け方4時頃、てっぺんにチョコンと小さな雲のせて、真っ黒な姿をくっきりと。嬉しかったわ、ほんま。
 静岡県内では「富士山を世界遺産に」キャンペーン運動中。横断歩道でも、ここ静岡はじめ近隣の都市は「頭を雲の上に出し」という歌が流れます。ゴミをなくして、はよう世界遺産になってほしい。
 世界遺産といえば、歌舞伎と並んで文楽。「お登勢」では劇中に、お登勢と恋人貢の木偶人形が登場、えらい会員さんのウケがええんですわ。人形は淡路の「人形恒」こと田村恒夫はんの傑作、遣うてるのはうちの若手、みんな他に芝居の中の登場人物である「役」を勤めてます。いわば人形遣いの素人が猛特訓をうけて、そのお蔭で遣えるようになりましてん、えらいもんですわ、おっ師匠はんは。手ほどきは桐竹勘十郎師、振付・指導は吾妻寛穂師、お二人のお蔭です。
 そのご指導をうけて、可笑しな笑い声で特徴のある小川錦次郎の役をしながら貢の人形を遣うてる中嶋君、ひと言。
 「初演からずっと貢人形の『主遣い』をやっております、中嶋です。
 振付けの寛穂先生はとても熱心な方です。物凄~く熱心です。時には稽古時間を無視した熱心さで指導してくださいます。おかげで何とか人形に心が乗り移ってきた様な気がします。筋肉痛と共に…。
 そのご指導に報いるためにも、そして何より皆様に楽しんで頂くために、『左遣い』の宗二郎君、『脚遣い』の昌樹君と呼吸(イキ)を合わせて、貢人形に命を吹き込んで行きたいと思います。」


中嶋の本役? 小川錦次郎
<中嶋の本役? ずうずうしい小川錦次郎>

 舞台で是非、黒一色のこの人形遣い軍団にご注目を。
「木偶の味、謎知り初めて、それからが」という翫右衛門さんの句を思い出しつつ。       
【木偶の坊の、矢之輔 記】


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