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『さんしょう太夫』だより

最も長く舞台にいる役者
『さんしょう太夫』では、説経節の語りと同じくらい大事なものがあります。
それは、楽器演奏です。
藤井偉策(いさく)君は、
太鼓、締め太鼓、銅鑼担当で、誰よりも長く舞台に登場している役者です。
つまり、誰でも何度か袖に引っ込んで、ほっと息を付ける時間がありますが、
いさく君は場面転換の時も、ずっと舞台に残って太鼓を叩き、
芝居の進行を助けています。

開演前は楽器の点検、準備
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締め太鼓の、「調べの緒」または「しらべひも」とも言いますが、
この紐を毎日丹念に締め直します。
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仕上げは2本のばちを使ってこのように締めます。
P1000961_convert_20120711021301.jpg

これで、締め太鼓はいつものように良い音が鳴ります。
我が班でこの作業ができるのはいさく君だけです。

全ての準備が整うと彼なりの稽古開始。
P1000964_convert_20120711135543.jpg

幕が開くと彼はずっとここに座って楽器を演奏します。
彼の太鼓を合図に芝居が進行しますので、
この芝居の指令塔のような存在です。
太鼓や締め太鼓の単独演奏だけでなく、
時には太鼓と締め太鼓、または太鼓と銅鑼を同時に演奏します。
その演奏には抜群の安定感があり、安心して聞いていられます。

そんないさく君にいくつか質問してみました。
芳三郎 「さんしょう太夫で太鼓叩くようになって、何回くらいステージ踏んだ?」
いさく 「150回以上っすかね」
芳三郎 「ずいぶんやったねぇ、なにか印象に残ってることある?」
いさく 「印象ってゆーか、すごく困ったことがありました」
芳三郎 「ほー、どんなこと?」
いさく 「みなさんは芝居で汗をかいて、暑いっておっしゃってますけど、
     僕はずっとここに座っているので、
     ほとんど汗もかきません。
     ある時、舞台の冷房が僕の座っている場所に直接当たっていて、
     芝居中にとても体が冷えてきて、
     だんだんお腹まで痛くなってしまいました。
     なんとか、持ちこたえましたけど、あの時はほんとに辛かったです。
     その日以来、
     念のため衣装の下に腹巻きをしています。」
芳三郎 「そうなんだ、そりゃ辛かったろうね・・・
     でも、腹巻きはグッドアイディアだね、
     あ、ホッカイロ!四、五枚腹巻きに突っ込んどいたら?」
いさく 「い、いえ、そこまでしなくても・・・汗だくになっちゃいます・・よね・・」
芳三郎 「あっそ・・・ほかになんか、そうだな、嬉しかったこととか」
いさく 「嬉しかったこと・・・そうですね。
     ここに座っているとお客さんの顔がよく見えるんですけど、
     みなさんがとても引き込まれて観てくださってるんです。
     それが嬉しいっすね。」
芳三郎 「そうだよなぁ、それが一番だよ。
     じゃ、おしまいに、突然だけど、今何がしたい?」
いさく 「子供と遊びたいっす・・会いたいっすねぇ・・」
芳三郎 「そうか~・・いくつになった?」
いさく 「三つっす」
芳三郎 「三つ・・・そりゃ、会いたいよなぁ」
いさく 「はい・・でも、久しぶりに会ったときの感動が大きいんで、
     それ楽しみに旅、頑張ります。」

三歳の息子さんに会えるのを楽しみに、「パパいさく」は今日も太鼓を叩きます。

嵐芳三郎
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