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『手紙』稽古場だより

~「手紙」「台北に舞う雪」公演まであと十日~
1,マカール
マカール

吉祥寺の町に、前進座劇場が建てられて三十年。
来年正月の「三人吉三」で幕を閉じる我が劇場への感謝と、これまで支えて下さった皆様への御礼の思いを込めて、「ありがとう企画」と名付け「母」「ゼロの焦点」からはじまった短期劇場シリーズも、この十月二十八日の第六回目をもって終結となります。

その最終回の演目は、「手紙」と「台北に舞う雪」。
ロシアと台北が物語の舞台となる、前進座には、きわめて珍しい「外国」物の二本立て、新たなる挑戦です。

「手紙」は、かのロシアの文豪・ドストエフスキイ原作「貧しき人々」からの翻案脚色。
先輩からお聞きした話では、これまでトルストイやチェーホフは上演したけれど、ドストエフスキイは、座史上初とのこと。
アンナ(針谷)
アンナ(針谷)

稽古場では、はじめのうち、長い長い地名や人名に、舌をかみかみ悪戦苦闘しながらも、次第に、役に入り込み、セリフに熱が籠って来る、それもその筈。日本でいえば幕末、ちょうど河竹黙阿弥と同じ時代を生きたドストエフスキイの作品群は、開国明治の日本文学界に熱狂的に迎え入れられ、文壇に多大なる影響を及ぼし、多くの作家達が心酔。座でおなじみの山本周五郎先生はじめ、みんなみんなドストエフスキイ信者で、現代に至るまでその薫陶を受けた文学は数限りなく、その作中人物や設定の随所にドストエフスキイ風の類似点が見られるのです。
3、ポクロフスキーとワルワーラcap006
ポクロフスキーとワルワーラ

明治の才媛・樋口一葉の隠れた名作小品「わかれ道」も、近所に住んでお互いの不幸な境遇を慰め合った二人が、いつまでもここで一緒に・・・と誓い合ったのに、彼女は金持ちの妾に・・・という、この「貧しき人々」と結末までよく似た、それでも尚、一葉らしい仕上がりとなった佳作で、これもまたかの君の影響か、はたまた同じ時代を生きた二人の天才作家の偶然の一致か、意見が分かれるところです。
SANY0038演出(志村)は、時に厳しく、時にコミカルに
演出(志村)は、時に厳しく、時にコミカルに
今、稽古場では、大先輩の津田伸さんから、ベテラン歌舞伎系の山崎辰三郎さん、中堅の中嶋宏幸さん、江林智施さん、針谷理繪子さん、そして若手の今井鞠子さんと、実に幅広い演技陣が、同じく演技部の大先輩である志村智雄さんの演出の元に、時には「手紙」を、「手記」を読みながらも、やおら立ち上がり、役を演じては引っ込み、また別の役を・・・と、朗読劇に留まらぬ舞台を展開してゆきます。装置や美術などの効果に頼らず、どこまで、演技とセリフで劇的展開を表現できるか、新しい挑戦の試みなのです。
SANY0034.jpg

かく申す私、企画・脚本の山口にとってこの作品は、「銃口」(2003年三月初演)、「ひなっちゃん・樋口一葉日記」(2005年正月初演)「生くべくんば死すべくんば・布施辰治」(2007年三月初演)に続く第四作目となる、久々のそして最後の「前進座劇場宛て書き下ろし脚本」。
実は私の中では、長い長い間、温め続けて来た大切な企画でした。
それが、ようやく実現する機会に恵まれた喜びと、それを支えてくれるスタッフ・キャスト、そして見に来て下さるお客さま方、これまで劇場を愛し支持して下さった多くの方々への感謝の思いをいっぱいに感じながら、今日も、稽古場へ向かいます。たくさんの方々に楽しんでいただけますように。
(文芸演出部)山口誓志:記
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