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『さんしょう』旅だより

さようなら、
  そして、ありがとう『さんしょう太夫』

『さんしょう太夫』の全国巡演、
そして、東京国立劇場公演を無事に終えました!
通算1018ステージ。
私は第一回公演から参加し、途中何回かは抜けましたが、
二郎、三郎、
そして今回の山岡太夫、国分寺の聖の役を通して、
人買いの山岡太夫
様々な人や出来事との出会い、
かつ貴重な演技体験をし、
想い出深い作品となりました。

38年かけて、これだけのステージを積み重ねた訳ですが、
まずは最初のスタッフ関係者に感謝したい。
――多く方々が亡くなられました――
『さんしょう太夫』を上演するたびに、
元気だった頃の先輩諸氏の姿が思い出されます。
制作の西山三郎、吉田さんのコンビ、
西山さんは装置家でもあります。
音楽の平井澄子先生
――この方は作曲のみならず、語り・楽器の指導も熱心にして頂いた――
この方が居なかったら、おそらく、『さんしょう太夫』は出来なかっただろう。
五代目、六代目芳三郎さんは演技指導と振り付けをそれぞれ担当。
舞台監督の松田益平さんの存在も大きかった。
舞台の相談事をなんでも解決してくれるプロ中のプロ。
脚本家あさや氏と演出者香川さんも高齢ながらも元気に、今日まで支えてきた。
千穐楽の集いでご挨拶いただいた“効果”の田村悳氏、右隣は作者のふじたあさや氏
又、多くの役者が参加し、
代わったり、辞めたりで、
あんじゅ・づし王のコンビも今回は九組目にもなる。

さて、第一回公演は、大阪清風高校の講堂で幕を開けたのですが、
役者が小道具・衣装・床山をも担当、
ドガチャガのテンヤワンヤで幕を開けた。
装置も今回で三回変わりましたが、
幕開きのあんじゅとづし王は作り物の舟に乗っていたし、
姉弟の身投げの場面では歌舞伎狂言『俊寛』の岩山を思わせる大きな岩が登場した。
終幕の母子対面の場では、
舞台一杯に鳴子の綱が張り巡らされ、
鳴子の音が母・玉木の引きと同時に、騒々しく鳴り響いていた。
さんしょう太夫の首切りの場では、
歌舞伎の手法でよく使われる竹竿に繋がれた首を飛ばし、観客席を沸かせた。
これらの道具も手法も早い時期に消えていった。
その翌年、芸術祭に参加、
優秀賞を受けた労音会館の舞台は洗練され、全国へ発信されていったのである。

『さんしょう太夫』の作品の魅力は、
変化にとぶ物語性、
しっかりしたテーマ性、
芸能性豊かな様式、
前進座しか創れないだろう独自性を持った演劇であることです。
とは言え座組は若手。
学校公演、親子・子ども劇場を中心に全国を廻ることになる。
親子劇場の低学年例会では、
午前に『笛吹カナシー』、午後は高学年例会で『さんしょう太夫』を上演
――どこの劇団もこんな大掛かりで、大胆なことは出来なかったので、圧倒的人気で受け入れてもらった。
若手中心の公演で、
題材が子どもっぽいと言うことで、
当初、労演と呼ばれていた演鑑組織から声がかかることはなかった。
だが、評判が評判を呼び、『さんしょう太夫』が東と西の労演に同時に旅立ったのである。
この二班活動は劇団でも労演でも初めての試みでした。

学校公演も全国的に盛んな時代でもありました。
新潟、山形、浜松、石川と言った中学高校の合同観劇をはじめ、全国何処へでも出かけた。
そのなかで沖縄県の公演は素晴らしいものであったのです。
45日間43ステージ。
アメリカから返還後、
『俊寛』『水沢の一夜』、そして『さんしょう太夫』と沖縄公演が毎年続くのですが、
『さんしょう太夫』公演ほど長い期間、沖縄に滞在したのは日本の劇団では初めてであった。
ヤマトの芝居を生で観たことがない沖縄の大人も子どもたちも興奮し、感動し、熱狂的に歓迎してくれたのです。勿論、会場は殆どが体育館。
授業を終えるの待って、舞台作りが始まります。
張出しから始まって、
吊りもの、楽屋・客席作り、暗幕張りと何時間もかけ、別空間を作り上げました。
出来上がった時には身も心もクタクタ。
しかし、疲労困憊を救ってくれたのは、
子ども達のすっかり変わった体育館を見ての驚きの声と、
喜色満面の笑みと感動の声!
そして私達の芝居を食い入る様に観てくれたあのまなざしでした。

今回、
市民劇場中国ブロックでの公演では、会員の皆さんから、
「今年のおしまいに最高の舞台を観せて頂いた」
「有り難うございます」
と各地で、心の底から感謝され、絶賛の声を頂戴しました。
嬉しゅうございました!
劇団員が励ましの言葉を成長の糧として、
明日へ一層飛躍して、旅立つことができます。

『さんしょう太夫』は今年で一旦幕を閉じます。
被災した東北の地に今、この芝居で元気を届けたかった。
又、積年の夢である海外に向けて、こんな日本演劇もあると発信したかった
――いつの日にか、次世代が再演してその夢をかなえてくれるでしょう――
しかし、私は再び、この芝居につくことはないだろう
――さようなら、さんしょう太夫!
全国の皆さん、ありがとうこざいました。
国分寺の聖

志村智雄
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