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夢千代日記《満蒙開拓平和記念館を訪ねて》

12月14日。
1ヶ月にわたる『夢千代日記』中国ブロック巡演を終え、
今日は山口県の徳山から長野県飯田への超ウルトラな大移動日。
新幹線で名古屋まで行き、
そこから貸切バスで飯田に向かうのですが、
その飯田の手前、
下伊那郡の阿智村にある【満蒙開拓平和記念館】に全員で訪問しました。

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この記念館はかつて“満州国”(中国東北部)と呼ばれた幻の国に入植した満蒙開拓団の苦難の歴史を伝え、
平和の尊さを次世代に語り継ぐために設立された日本で唯一の施設なのです。

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「王道楽土」「20町歩(何と東京ドーム4個分)の地主になれる」
国をあげての大宣伝を信じて夢を抱いて渡った新天地でしたが、
突然のソ連軍の侵攻で満州は戦場と化します。
移民を守るはずの関東軍はすでに撤退、
置き去りにされた開拓団員は女、子供、老人ばかり…
『夢千代日記』1幕でスミさんが涙ながらに語る逃避行、
集団自決の悲惨な出来事が、数々の生々しい証言としてここに展示されていました。
私が演じる王永春、中国残留孤児はこうして生み出されたのです。

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33人と私達の人数が多かったのでA班、B班に分かれての見学でした。
私のA班のガイドをしてくださったのは記念館事務局長の三沢亜紀さん。
本当に丁寧で、分かりやすい解説です。

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そんな三沢さんから衝撃の事実が語られました。
「実はここに前進座が登場するのです」
と言って手渡された小冊子は昭和14年に新橋演舞場で上演された前進座の公演パンフレットでした。
芝居のタイトルは『大日向村』。

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当時、満蒙開拓に反対した政治家高橋是清は2.26事件で暗殺され、
以後政府は国策として満州に村ごと入植する“分村移民”を強硬に推し進めました。
その最初のモデルケースとなったのが長野県南佐久郡大日向村です。
そしてこの大日向村の分村移民の実話を舞台化したのが前進座公演『大日向村』だったのです。
『大日向村』はその後映画化もされ、
長野県を筆頭に全国の多くの貧しい村の人々にそれを観せ、
満州行きを決意させる宣伝に使われたのです。
満蒙開拓団の悲劇に前進座は深く関わっていた…
この小冊子はその事実をはっきりと刻んでいました。

言葉もありません。
私たちは劇団のこの「負の歴史」を決して忘れてはなりません。
いったん演劇が権力に利用されたら、このような取り返しのつかない間違いをしてしまうのです。
演劇は一体誰のために、何のためにあるのでしょうか。

奇しくも今日は衆議院選挙の投票日。
圧勝した与党はいよいよ“憲法改正”を明言しました。
「相手はますます力を増してきている」
劇中の夢千代さんの台詞がにわかに現実味を帯びてきました。

辛い一日でした。
本当に深く考えさせられた今日の移動日でした。
明日の飯田公演、
今一度『夢千代日記』に込められた平和への熱い思いを心に刻み込み、
原点に戻って、王永春を演じます。

柳生啓介 記
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