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『解脱衣楓累』だより

化政度スコープ

 「その畑わたせ」
“旗”を渡せ、という台詞をこう書いたので、
南北さんは無知文盲よばわりされる。
 なに、舞台で喋れば何方も「そのハタわたせ」
 
 宛て字のチャンピオンは、近代では夏目漱石。
馬穴の水、気作な人、と、いま小論文に書いたらサッソク減点の対象だろう。
漢文教育の総本家・二松学舎から帝大、
その帝大で教鞭までとった漱石先生を、無知文盲とは誰も言わない。
どころか、次々文章が沸いて出る才能ある人に当て字が多い、
とまで弁護されている。

 これ、南北さんにもそのまま当てはまる。

 南北さんより一回り下の亥年生まれが、曲亭・滝沢馬琴。
彼も累さまを小説にしているが、それはさて置き、
 こちらは殊更難しい漢字ばかり使うので有名。
晩年目を悪くした馬琴先生、息子の嫁に口述筆記を取らせて
代表作『八犬伝』を完成した。
 厄介な漢字は一々書き方を説明しながら書かせたというのだから、
気の永い話。

 彼らが活躍した時代は、化政度(かせいど)と呼ばれる。
度は“時代”とか“頃”。この25年ほどの元号が文化と文政だったので、
一文字ずつとって化政度という訳。

 上方(関西)中心だった元禄の文化と違い、江戸中心の文化が爛漫と咲いた。
小説では他に、『東海道中膝栗毛』の十返舎一九、『雨月物語』の上田秋成など。
俳句に与謝蕪村や小林一茶。
美術に北斎・広重・歌麿ら。
国学や蘭学が起こり、シーボルト事件も文政時代のこと。

 維新まで半世紀。
『解脱の累』が初演されるはずだった年には、ロシアの船が沿岸に姿を見せている。
寺子屋が普及し、江戸庶民の識字率は、ブッチギリで世界最高水準だった。
 そんな化政度の世の中に、多彩な文化が万華鏡のように輝いた。
 
われらが南北サンが立作者の地位を確立し、死の年まで大活躍をする四半世紀は、
この文化文政時代にピッタリと重なっている。


                          喜八郎☆記

 漱石さんの当て字は、馬穴=バケツ、気作=きさく。
念のため。
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