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『佐倉義民伝』国立劇場公演 柳生啓介



《存在するということ》

『佐倉義民伝』第二幕 第一場【渡し小屋の場】。
幕が開くと舞台は一面の雪。
その雪道を一歩一歩踏みしめるように、私、幻の長吉が舞台に登場します。


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「今自分は舞台の上に立っている…」


その瞬間に私の緊張はピークに達し、心臓は早鐘のように鳴り始めます。

「あと五歩…」

ここから甚兵衛の小屋に入るまでの長吉の歩みにこそ、私の全人格がかかっているのです。


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私が最も尊敬してやまない山田洋次監督は、3月の『裏長屋騒動記』の惣ざらいをご覧になった後、私たちにこんなお話をしてくださいました。

「役者にとって一番大事なのは、舞台の上に存在しているということです。それぞれの人間がそれぞれの人間としてちゃんと存在している、まず自分がそこにいるということが大事なんだってこと…足の裏の感触とでも云うのかな。今自分の足が大地を踏みしめている、大地を歩いているということを自覚して演じてください。」

私のようなつたない役者はついつい、舞台に登場した瞬間に「さぁ、これから芝居をしよう」という顔をしてしまいがちです。
長吉のこの雪道の歩みはそんな私を戒める、私自身の存在を感じることの出来る大切な瞬間です。

【渡し小屋の場】は【門訴の場】が終わって、30分の大休憩の後に幕が開きます。時間はたっぷりあります。
出番前に何度も何度も自分の足の場所、歩き方を確かめながら長吉は今日も雪道を歩いています。


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〜 柳生 啓介 記 〜


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