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五月国立大劇場公演だより

                梶原金八のアゴ


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 現在も観られる山中貞雄=前進座映画『河内山宗俊』『人情紙風船』は、
どちらも河竹黙阿弥の歌舞伎が原作。
原作は、前進座でも国立劇場ほかで上演しているが、
映画は観客の生活感に寄り添うように大胆にアレンジ、その感覚は今観ても決して古びない。
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 『河内山ー』の金子市之丞を演じた翫右衛門は、
衿にいっぱい爪楊枝を刺しているなど
様々な個性を工夫、
「三井(翫右衛門の本名)君は、えらい役者や」と述懐していたことを
稲垣浩監督が書き残している(『日本映画の若き日々』)。

 大人の童話ともいえる『河内山宗俊』のシナリオは、梶原金八。 
彗星のごとく現れて20数本を発表、ヒットを飛ばし続けて三年で消えた。
と言うと謎の画家・東洲斎写楽のようだが、
金八の場合、正体は判明している。

 「何が何でも梶原金八を引き抜け!」
と厳命した映画会社長もいたというが、
カジワラキンパチは、山中をはじめ八人の監督やライターが
会社を超えて合作する時のペンネーム。
 実は厳命した社長の映画社にもその中の二三名が在籍していた。

 事情を知っている評論家が提案した。
「みな、梶原金八の顔を見たがっているから、
八人の写真を重ね焼きしたらどうだ」
髭を立てたばかりの山中貞雄が言った。
「重ね焼きでも、髭は出るやろナ」
「そりゃ、髭とアゴは山中が持っていくさ。
シナリオの中身同様、半分は山中のものだ」
 遺されたポートレイトを見ても、山中貞雄の顎は立派。
それと同様に合作のシナリオの中でも、山中色は強かったらしい。

 山中が戦病死した年、山中が残した『木屋町三條』の構想を、
残された七人の金八がシナリオ化、
前進座ユニット出演で追悼映画『その前夜』が作られたのは、前にお話しした通り。

 梶原金八の名は、この映画を名残に消えた。

 


喜八郎☆記
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