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諫早『眼鏡橋物語』柳生啓介

『棒しばり/文七元結』九州巡演もいよいよ大詰。残り5ステージなった2月25日、私たちは諫早にやって参りました。本日は大村諫早市民劇場での例会です。

私は、劇場入りする前、ホテル近くにある諫早公園を訪れました。この公演の池に架かる“眼鏡橋”を一目見たかったからです。眼鏡橋と言えば長崎のそれが有名ですが、こちらの眼鏡橋は長崎の約2倍、石橋としては初めて国の重要文化財に指定されたまさに諫早のシンボルとも云える存在です。
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「あれ、こんなに小さいの?」
公園に着いた私の目の前に現れたのは長さ約10メートルくらいの可愛い眼鏡橋。実はこのミニ眼鏡橋は“本物”の5分の1の縮尺された雛型。眼鏡橋が架かっていた本明川から、この公園に移築復元するために橋の組立て方や技術的なデーターを収集するために造られた精巧な模型です。本物の眼鏡橋が無事に移築出来たのもこの模型のおかげなのです。
ミニ眼鏡橋から少し先に歩くと、出ました眼鏡橋!美しいです。
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この橋が造られたのは江戸時代。今から185年前です。本明川に架かっていた橋は洪水の度に流されてしまったので永久に流されない橋を造ろうと2800個!の石を組み合わせて天保10年に完成した“史上最強”の石橋です。この橋には現代の最新研究でも解明出来ないすぐれた技術が秘められています。
時は流れ、橋の完成から118年後の昭和32年、諫早は未曽有の大洪水に見舞われます。死者・行方不明者630人の大災害となった「諫早大水害」です。眼鏡橋はおびただしい流水にもびくともしませんでしたが、皮肉にも頑強な橋が流木や瓦礫をせき止めてしまったために水の流れが変わり繁華街を全滅させてしまったとも言われています。国は復旧事業として本明川の川幅を拡張して橋を全部架け変え、被害を拡大させた眼鏡橋はダイナマイトで爆破することを発表しました。しかし市長を始め、眼鏡橋を愛する市民の粘り強い運動によって、橋は国の重要文化財に指定され、本明川から諫早公園への移築復元が決まったのです。あの時ダイナマイトで破壊されてしまっていたら今の美しい眼鏡橋は永遠に見ることが出来なかったのです。橋を後世に残してくださった諫早市民の皆さんに心から敬意を表します。


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風車のある丘にそびえる諫早文化会館での今夜の公演は大盛況でした。笑いと拍手の絶えない客席に本当に感動しました。
『文七元結』佐野槌の場、私が演じる藤助の去り際、長兵衛さんが私を呼び止めます。
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「羽織を借りたことは女将さんには内緒に」
と手振りをする長兵衛さんに私は
「のみ込んだ」
と言うように胸を大きく叩きます。その時の客席の笑いを聞いて、私はとても幸せな気持ちになりました。おっと、感慨にふけっている場合ではありません。すぐに夜鷹蕎麦屋のおじいさんに早変わりです。走れ走れ!
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柳生啓介
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