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五月国立大劇場だより

      時鳥 不如帰 遂に蜀魂  海舟


「時鳥が啼く。今年は早いな」
「四月閏にしては、季節が急ぎすぎている」
    (江戸城総攻 第一部
          江戸城総攻)

これが『江戸城総攻』の第一声。
 ホトトギスは万葉の頃からその年の第一声を
忍び音と珍重された。
 ホトトギスは、夏の鳥。
初夏に渡来、初秋に東南アジアに渡る。
 古来、田植えを促す為に啼くといわれたり、
あやめ鳥の別名があるから多くは五月中旬に来日する。

閏月で調整する直前、三十日ほど暦がずれた
1868年三月初めの忍び音は早い。
幕開けの旧暦三月六日は、太陽暦の三月二十九日。

            烏帽子鳥
        《同じ仲間のエボシドリ》

「あ、時鳥が啼く……。しばしこの儘に置け。」
 慶喜公瞑目して聞けば、
杜鵑二三声、寛永寺の大屋根の上を啼きて過ぐる。
十日の月光、煙るがごとく庭面に降りそそぎ、
入側の畳に射し入る。
  (江戸城総攻 第三部
       将軍江戸を去る)

 慶喜公が登場する四月十日は、新暦では五月二日。
こちらのホトトギスは順当だろうか。
 テッペンカケタカ、特許許可局、不如帰などと聞きなされる
ホトトギスの声は夜も聞かれる。

親戚のカッコウ。恰好は似ている。


“啼いて血を吐くホトトギス”

 ホトトギスの口の中は真っ赤。
だから、真山青果の脚色でも名高い
結核患者が主人公の悲劇は、
『不如帰(ほととぎす)』。
 明治の俳人正岡子規は、結核で喀血、
子規(しき=ほととぎす)と号した。
            
杜鵑、時鳥、子規、不如帰、杜宇、蜀魂、田鵑、
これ皆ホトトギス。どれも、
古代中国の王様の魂がホトトギスになったという伝説が
元となっている。

 よって表題の海舟の句は、
ホトトギス ホトトギス ついにホトトギス

 若い時、時流に乗って騒ぐが、
中年から初老には、保身に活きる人々に失望
故郷に帰るに如かずとの想いで晩年を迎える、
という政治人生を読んだのだと、語っている。


あの声で蜥蜴喰うかやホトトギス”
 同じ仲間のカッコウと同じく、ホトトギスは
ウグイスなどの巣に卵を産んで育てさせる
“横着者”。
彼らの人生は、風流とばかりはいかないようだ。


                 喜八郎でした
           江戸城落日
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